ブツブツと絢は何か言っている。
あぁ、分かったこの女、莉桜菜のことをマスコットか何かとしか思っていないんだろう。
自分の隣にかわいい子を侍らせて、優越感にでも浸っていたい。
なんて馬鹿な愚かな女なんだ。
莉桜菜が、この女に何も言わなかった理由が分かった。
莉桜菜も分かっていたんだこいつの本性に。
「お前の我が儘なんか知ったこっちゃねぇよ」
「何ですって!?」
「いいか!」
俺は、声を荒げた。
ビクッと絢の肩が震えた。
「言っておくが、莉桜菜が休んでいる理由は分かんねぇよ。調子よくなったらくるだろ・・・それより、莉桜菜はお前のマスコットなんかじゃねぇんだ」
「はぁ?分かっているわよ、あたしは莉桜菜のーー」
「友だち、とか言うんじゃないよな?お前は、莉桜菜が体調が悪いことにも気づかない、莉桜菜莉桜菜莉桜菜って言ってばかり。そんな奴が友だちなんて良く言えたもんだ」
「な、あたしは」
「俺はな、お前みたいな奴が大嫌いなんだよ・・・いいか、これから二度と俺に話し掛けるな
莉桜菜のことに触れるな・・・迷惑なんだよ」
言い切って、俺は絢の言葉を待つことなく背中を向けて屋上を出た。
苛立ちを持ったまま、俺は屋上からの階段を降りていった。
あーなんで、あんな変な女がいるんだ。自己中心的にも程がある。
あんなのとよく一緒にいたな、莉桜菜は心が広いんだ。
苛立ちを落ち着かせながら歩いていると、担任に出くわした。


