キミに伝えたい言葉がある




俺のモヤモヤななくならず、でも一日は何事もなかったかのように過ぎていった。
帰りのHRが終わり、クラスメイトはいつも通りにそれぞれ部活に行ったり、帰ったりしていった。


「真司君、かえろー」


莉桜菜が鞄を持って俺のところにやってきた。
俺は頷いて自分の鞄を持って、それから莉桜菜の鞄も持った。


「ありがと」
「いい」


2人並んで教室を出る。
長い廊下を歩いて、靴箱を目指す。


「こうして一緒に歩くのはしばらくお休みになるのかー」
「友だちに言ったのか?」
「んー絢ちゃんだけでも言おうかと思ったんだけど、やっぱりやめた」
「なんで?」
「なんでだろう?・・・心配させたくないからかなーそれに別に病気な訳じゃないし」


すぐ帰ってくるしね、と莉桜菜は笑った。
靴を履き替えて俺たちは学校を出た。
帰りは公園に寄ることはなくまっすぐ家路に向かった。
その間は、ちらほら話はしたりしたが、いつもよりは口数は少なかった。
莉桜菜は歩きながら周りを見渡している。
今まではそんな風に周りの景色を見る、なんてしたことなかったのに、まるで目に焼き付けるようにみているその姿に、少し不安を覚える。
彼女は、今一体何を考えているのだろうか。
莉桜菜の頭の中を覗いてみたいと思った。


「あ・・・ついたね」


莉桜菜の一言に、分かれ道についたことに気づいた。