教室に入って、クラスメイトの仲に紛れながら自分の席に着く。
憂鬱で仕方がなかった。
しばらくして、莉桜菜が教室に入ってくる。
友だちの多い彼女は、入ったとたんに囲まれていた。
楽しそうに話をしている彼女を視界の隅に入れながら、俺は明日から彼女のいない毎日を思う。
大丈夫、ほんの少しの間だけだろう?だのに、なんでこんなに俺は落ち込んでいるんだろう?
「塩田が来て良かったなー」
「全」
「おはよーさん」
全は、俺の前の席に座って荷物を降ろす。
「さっそく人気者の塩田は囲まれてんなー」
「そうだな」
「で?なんでお前はそんなにテンション低いんだよ」
「低いか?」
「地を這ってるな」
俺ってそんなにわかりやすいんだろうか?
全は、何があったか話せと言ってくる。
そうだ、全なら俺の今の気持ちがどんな名前か知っているかもしれない。
俺は、莉桜菜が休むことは言わず、全に話すと、彼は目を丸くして、それから深いため息をついた。
「お前それ本気で言っている?」
「もちろん、だから聞いているんだよ」
「そこまで気持ち出ているのに?」
「?」
「お前みたいな奴を鈍感、て言うんだろうなー」
うんうん、と全は1人で納得している。
俺は1人分からず首を傾けた。
「どういうことだよ?」
「俺からは何も言えない。自分で見つけるこった」
トントンと肩に優しく手を置かれた。
俺は答えを得られないままもモヤモヤが残っただけだった。


