楽譜とギターと睨めっこしながら、俺はゆっくりとその曲を弾いていく。
「流石、真司。飲み込み早いなぁー」
俺のギターさばきに光平は、感心している。
「そうか?」
「あぁ、流石だよ」
光平に褒められると、調子に乗ってしまう。
ざっと一番だけ歌なしで弾いてみて、もう一回弾いてみる。
一度指が弦を弾けば、大体は弾けるようになる。
2回目は割とスムーズに弾けるようになって、実際音になった光平の曲は、綺麗な旋律を奏でた。
「・・・良い曲じゃん」
「そうか?これに歌が入れば最高か!」
光平は、上機嫌だ。
俺は曲を弾きながら、歌詞も唄ってみた。
曲と抜群に合っている歌詞だ。
光平本人も言っていたように少し恥ずかしいが、でも光平の思いが詰まっているかと思えば歌えた。
「ーーーーこんな感じか?」
とりあえず、唄ってみて光平の反応を見た。
光平は、肩を若干ふるわせながら、何故か泣いていた。
「え、光平?」
「真司が俺の歌を歌ってくれてる・・・」
「泣くほどのことないだろう?」
「うるさいな、嬉しいんだよ」
ばしっと背中を叩かれた。
痛い。なんで叩かれないといけないんだよ。
不満もあったが、光平が感動して泣いているのならここで水を差すのは得策ではないと思ったので黙っておく。


