「じゃあね、また明日」
「また、明日」
にっこりと彼女は笑って家の中に入っていった。
パタンとドアが閉まるまで見送って、俺は自分の家路へとつく。
「また、明日・・・か」
何気ない言葉、明日また会うための小さな約束。
なんだか、この一言が酷く重く感じた。
ギターを持って河原に行くと、光平が先に来ていた。
「よー真司」
光平は、俺の姿を見つけると手を上げて名前を呼ぶ。
「よう、光平」
「今日は俺が早かったなー」
ギターを出して、音を確認している彼の隣に座って、俺もギターを取り出した。
「今日は、莉桜菜ちゃん来るわけ?」
「今日は来ない。来るなって言った」
「なんで?喧嘩でもしたのか?」」
「違う。体調が良くないんだ。昨日熱中症になって病院に運ばれたから」
「まじか、大丈夫なのか?」
「今日は、普通に来ていたから大丈夫だろう」
「なら、いいけど」
光平は、びっくりした表情だったが、莉桜菜が大丈夫だと知ると安堵の息を吐いた。
熱中症だといって軽く見たらいけない。
酷いと、それで命を落とす人だっているのだ。
今後、気をつけないといけないだろう。
「あ、真司。朗報だ。とうとう曲が完成したぞ」
光平は、ギターのケースから楽譜を取り出した。
楽譜には、譜面と歌詞が光平の字で書かれている。


