キミに伝えたい言葉がある




「ね、真司君」
「なに?」
「真司君は何かやりたいことってある?」
「やりたいこと?」


莉桜菜は、俺を見上げてきて頷いた。


「やりたいこと。例えば、将来何になりたい、とか」
「・・・特に考えたことない」


今は、光平とギター片手に歌っている時間が楽しい。
最近は、学校もイヤではなくなってきていたりする。
それは、莉桜菜のおかげだと思う。


「そうなの?」
「莉桜菜は何かあるのか」


こうして莉桜菜と話を重ねる内に、関わるにはどうしていったらいいのか、とか話をつなげることも少しずつ出来るようになってきていた。
それは、最近話すようになってきた全とも同じだ。


「私?私はね・・・とりあえず、高校卒業して、大学行きたいな・・・それから成人式には振り袖着て派手にしたい」
「未来だな」
「うん。きっと来るだろう未来。それから、友だちとワイワイ楽しんで過ごしていたいな・・・あれ?やりたいことじゃないっか。夢はね、先生になりたいな」
「先生?」
「そ。先生。小学校の」
「なんで?」
「なんでだろう?子どもが好きだからかな?後は・・・勉強もそんなに嫌いな訳でもないし」
「へえ」


意外に莉桜菜の中で、将来に対するビジョンはしっかりとあるんだなと感心した。
俺なんて、未来なんて全く考えていない。
将来何になりたいかなんて不透明だ。