通学路を歩いていると、いつも俺たちが分れる場所に着いた。
いつもだったら、ここでさよならをするのだが、俺は自分が抱えている莉桜菜の荷物を見た。
うちの学校は、置き勉とかは厳禁なので、皆必ず持ち帰っている。
誰かが、バレないだろうと教科書を机の中に置いたまま帰ったら、次の日没収されていたことがあった。
それは、ロッカーや部室なども一緒で、常に学校の机などは空にしておかないといけないらしい。
なので、俺の持つ荷物はそれなりに重い。
このまま莉桜菜に返して重い物を持たせるのは・・・。
「ありがと、真司君。重かったでしょ?」
莉桜菜は、自分の荷物を受け取ろうと手を差し出してくる。
俺は、その手と、荷物とを見て、決心する。
「・・・家まで、送る」
「へ?」
「荷物、重いから」
「え?大丈夫だよ?家すぐそこだし・・・」
「だったら尚更俺がもって行く」
少しでも、莉桜菜の負担を軽くしたい、と純粋に思った。
莉桜菜は、最初は戸惑っていたけれど、俺が折れないことを理解してからか、観念したみたいだ。
「じゃあ・・・お願いしようかな」
困ったように笑う彼女に、強引だったかなとも思ったが、「こっちだよ」と教えてくれる限りは大丈夫だろう。
莉桜菜に誘導されながら俺は、いつもと違う道を歩くのでなんだか新鮮だった。
「なんか、不思議。真司君とこの道歩いているなんて」
莉桜菜も同じ事を思ったみたいだ。


