キミに伝えたい言葉がある



俺は、莉桜菜の席に荷物を置いて、自分の席についた。

「おはよう、真司」


前の席の全に挨拶される。


「おはよう」
「良かったな?塩田元気そうで」
「あぁ」


クラスメイトに囲まれている莉桜菜を見る。
心配されながら、笑顔で答えている彼女の姿がすぐに見られて安堵するのは俺も一緒だった。


「で、お前は?」


全に聞かれて、俺は首を傾けた。


「なにが?」
「いーや、まだラスボスのままだったかー手強いなー」
「・・・なんだよ、それ」
「頑張れー」


全の言いたいことが分かって俺は目を細める。
そんなすぐに変われるわけがないだろうに。


「そうだ、今日の宿題やってきたか?」


急に全は話を変えてきた。
一瞬止まったが、すぐに俺は頷いた。


「今日のはした」
「数学も?」
「とりあえず」
「答え合わせさせてくんない?ちょっと自信なくてさ」
「いいよ」


俺は、鞄から数学のノートを出して宿題の場所を開いた。
全も自分のノートを出してきて、俺の宿題と自分の物を照らし合わせる。


「あれ、ここ違う・・・なんでこの答えになる?」


全の答えと俺の答えが違う問題が一つあった。
それは、俺は自信のあるものだったので、こうしたら出来たと答えると、全は納得して消しゴムで消した。


「なるほどなーこうすればいいのか」
「この方が簡単に答え出る」
「お前、教えるの上手いな」
「そうか?」
「おう、また、頼むわ」


チャイムが鳴ってお互い前を見る。
教師が入ってきて、出席確認をする。
莉桜菜の名前を呼んで彼女が答えると、心配そうに様子をうかがっていた。