キミに伝えたい言葉がある



「真司、どうだった?」
「とりあえず、病院に行った。後は分からない」
「そうか・・・心配だな?」
「・・・あぁ」


制服に着替えながら、俺は先ほどの莉桜菜を思い出す。
最初倒れたとき、正直心臓が止まるかと思った。
笑顔が見られない眠ったままの顔を見たときは、不安で仕方がなかった。
本当に何事もないことだけを祈る。


「はぁ・・・」


小さく、ため息をついた。
すると、隣にいた男子から声を掛けられる。


「どうした?大丈夫か?」
「!あぁ、大丈夫」
「なら、いいけど・・・無理すんなよ」


ポンッと肩に手を置かれた。
その男子は荷物を持つと、友だちと一緒に更衣室を出て行った。
俺は、呆然とその後ろ姿を見ていた。


「真司、どうした?」


反対側で着替えていた全が、固まっている俺を見て首を傾ける。


「今・・・励まされた、のか?」
「は?」
「肩、ポンッてされた・・・」


呟くと、全は吹き出した。


「ハハッ、なんだよ。励まされたんだろ?」
「なんでだ?」


俺は、首を傾けた。
励まされる理由が分からなかったからだ。


「なんでって、みんなさっきのこと知っているからに決まっているだろう?」
「・・・」
「まぁ、中には自分が運びたかったって奴もいるだろうけど、お前が塩田と仲が良いのって知っているからだろうな」
「そうなのか」
「お前は、ほんっと他の奴と関わろうとしてないもんな」


着替えを終えた全は、荷物を持って棚のドアを閉めた。