「ごめんだけど、塩田さんの荷物持ってきてくれる?」
「え?」
「今から、病院に連れて行って貰うことにするから」
「あ、はい」
俺は、頷いて保健室を飛び出した。
急いで自分の教室に戻り、莉桜菜の荷物をとる。
そして、また保健室に戻ろうとするが、はた、と莉桜菜の制服は更衣室にあることを思い出した。
女子の更衣室に男の俺は入れない。
別に制服はいいか、と思って保健室に戻る。
「先生、持ってきた」
「ありがとう」
「制服は、更衣室にあるから・・・・」
「そうね、大丈夫」
眠る莉桜菜のベットの側に置いて、俺は莉桜菜の様子を見る。
目は閉じられていて、起きる気配はない。
10分くらい時間が経ったころ、保健室のドアが開けられて、救急隊の人が3人担架を持って入ってきた。
「この子です」
救急隊の人は莉桜菜の側に来て様子を見る。
脈を測ったりしながら状況を聞いてきて、見ていた俺はそのままを話した。
「分かりました。病院に運びます」
救急隊の人に抱えられ、莉桜菜は担架に乗せられた。
側に行こうとしたが、俺が行っても、と思って踏みとどまる。
「ありがとう」
保健教師に言われ、莉桜菜は保健室から連れられていく。
付き添いで保健教師が行くだろう。
俺は、一人保健室に残される。
一気に力が抜けて、ベットに座り込んだ。
「はぁー・・・」
そして頭をかき乱す。
莉桜菜、大丈夫だろうか。
熱中症?これだけ暑かったらそうなるだろう。


