キミに伝えたい言葉がある



「はぁ?お前は何とも思わないのかよ?」
「俺は特に」
「はっ、お前は塩田がいるもんな。俺は、女の子大好きなんだよ」
「・・・」


牛島 全という男はこんな人間だったのか。
にこやかな爽やかな表面と違い、中身は年相応の男だと言うことだ。
俺だって人並みにそういう面はあるが、ここまではない。
こいつには、変態、という肩書きが相応だろう。


「おい、お前の愛しの塩田がいるぞ」
「愛しの、て俺と莉桜菜はそういう関係じゃない」
「じゃあ、どういう関係なんだよ」
「普通の友だちだ」
「友だちぃー?ほんとかよ」


全は、信じられないと言った感じだ。
男女の友情関係は成り立たない、と雑誌で見たことがあるが、俺はそうは思わない。
本人同士がそう感じているのならば、関係は成り立つのだ。
俺はそう信じている。


「ま、とりあえず、お前も見てみたら?」


言われて俺は渋々全と中を見た。
目線の先に、莉桜菜がいた。
友人と楽しそうにおしゃべりをしている。
いつもの笑顔だ。


「楽しそうだな」
「俺も混ざりてー」
「行ってくれば?」
「馬鹿、追い出されるに決まっているだろう?」


俺と全が言い合っていると、ピーッと女子の方の笛が鳴った。
皆、音に気づいてワラワラと集まっていく。
そろそろ俺たちの休憩時間も終わる頃だろう、行くか、と思って立ち上がった瞬間、体育館の中から悲鳴が上がった。