りく兄こと佐々本陸は青のお兄さんで、あたしとは青と同じ幼なじみ。
青とは違って常に優しくて、小さい頃に青に意地悪されて泣きつくのはいつもりく兄の腕の中だった。
りく兄は青のお兄さんだけど、あたしにとっても兄的存在なんだ。
「…青からちゅんのことは少し聞いてたけど、まさかこんな美人になってるとはね」
「び、美人って…!?」
「兄貴、チャラい」
言われたことのない言葉にどうしたらいいのか分からなくて、とりあえず赤くなっているであろう頬を隠すように両手で覆った。
りく兄に「照れてて可愛い」なんて言われたけど、これ以上真に受けると暑くてどうにかなりそうだからスルーした。
あたしが美人だなんてもったいない。
というか美人はさっきりく兄と一緒にいた女性のことを言うんだよ。
そう言おうとりく兄を見上げると、あの女性がこちらを見てさっきの場所に立っているのが視界に入った。
女性はさっきの笑顔とは反対に少し鋭い視線でこっちを見ている。
でもあたしと目が合うとこっちに背中を向けて去っていった。



