「いや、まあ……話があるというほどのことでもないんだけどね」
「オイル――いや、お昼を訊きに来ただけだもんね」
そうなの、とわたしは苦笑した。
「ああ、それで今日の昼食は、おかかと昆布のおにぎり」
「ほう。わたしも今日おにぎりなの。味噌と塩で、塩分十分すぎるやつ。それをお茶で流してからの、おばちゃん特製デザート。
ああそうだ、高本くんも今度お願いしてみたら? おばちゃん特製デザート。あいつ使えるよ、本当に。
二十食しか出ないのに、九十八パーセントくらいの確率で入手してくるから」
「いや、俺はいいよ。ていうか、二十食しかなくてほぼ百パーセントってすごいね」
「そうなのよ」
「でもまあ、竹森くん走るの速いからね。いつか走ってるところを見たことあるけど、光かと思った」
それは言い過ぎでしょうと笑い返し、ふと時計へ目をやると、昼休みは半分近く終わっていた。
「やばい、ご飯食べられなくなる」
じゃあね、と一方的に別れを告げ、わたしは自席へ戻った。



