宿題が終わったときには、時間は十六時をまわっていた。


「やっと終わったねえ、宿題」

わたしは大の字に寝転び、ため息のように言った。

「いやあ、随分と掛かりましたね」

隣に寝転ぶ高本くんが言葉を返す。

「ね、長い地獄でしたよ」

「ようやく終わったなあという感じですな」

「なんだか疲れましたねえ」

「ええと……このまま寝てしまいますか?」

「可能ならばそうしたいですよ」

「よし、そうしましょう」

高本くんの言葉に、わたしは上体を起こした。

「うそ、本気で言ってるの? ならば本気で寝るけれど」

「ど……。とんでもない、明るいうちに帰っていただけないと困りますし」

「し……。仕方ないな、それじゃあせめて、体だけでも寝かせてください」

「いいですよ――ていうか美澄さん、続けさせるのうまいね」

「ね、ね……ねえよ、そんなこと」

「とりあえず、もう普通に話そうか」

「可能ならば、そうしたいよ」

「よし、そうしましょう」

遠くに聞こえた鳥の声に続くように、高本くんと同時にはあと長く息を吐いた。