その瞳に写る頃


「わたしなんかさ、必要以上にペン使うから、文字を間違える確率が上がるじゃん。すると授業中に二度は間違えるの。

で、二度あることは三度ある場合もありますよと昔から言うように、三度四度と間違えたり。

それで修正ペンなんかめんどくさいから使わないじゃない?

もう、おかげでただでさえ見づらいノートがさらに見づらくなるという……」

わたしはため息をついた。

「高本くんのノートが物語ってるよ。シンプルイズベリーベストって」

「でも、色がなさすぎるのもどうよ」

「いいんじゃない? 自分で見やすければ。わたしの場合、自分で見づらいのに直せないという……」

「俺もだよ」

「わたしたちをうまく足して二で割ったのが、多くの同級生たちなんだろうね」

「うまく色を使えるようになりたいね」

「というか、加減ができるようになりたいね」

高本くんと同時についたため息を振り払うように、遠くでししおどしが音を響かせた。