その瞳に写る頃


外はよく晴れており、体感温度は半袖でちょうどいい程度だった。

鮮やかな黄色のショルダーバッグは、ノートや教科書でそれなりの重さになった。

賢ければプリントの宿題にはノートも教科書も不要なのだろうが、ほとんどの教科で中の下以下の評価を下されるわたしには、いずれも必要不可欠だった。


道端にたんぽぽが咲いていた。

信号に止められたとき、服にてんとう虫がとまった。

春というと眠っていたものが活発になる、といったイメージがあるが、わたしには長年眠っていた力や才能はないようだ。

授業中に睡眠を取ることがなければ、筆記用具を休ませることもほとんどない。

それにもかかわらず、毎日宿題に苦戦するのは変わらない。

「……じゃあ、反対に」

わたしはぼそりと呟いた。

反対に、授業中に睡眠を取り、筆記用具を頻繁に休ませれば成績が上がるのだろうかと思った。

いや、と頭を振り、ふっと笑いをこぼす。

わかっているのだ。そんなことを実行すれば、わたしの成績はさらに落ちる。

一歩、それどころか半歩でも間違えれば卒業さえ危ぶまれる。