その瞳に写る頃


風葉公園では、帰る直前にチューリップと風車を携帯で撮影した。

わたしが小腹が空き、公園から十五分ほどの場所にあったコンビニに寄った。

コンビニでは、わたしはアメリカンドッグと炭酸飲料を、高本くんは緑茶を購入した。


「そういえば高本くんってさ、学校にいるときはなにしてるの?」

わたしはアメリカンドッグにケチャップとマスタードをかけながら訊いた。

「え?」

「いつも鉛筆持ってるから。やっぱり絵を描いてるの?」

「ああ、うん」

「へええ。なにか面白いものある? 校門の外にある木とか描いてるの?」

ううん、と高本くんはかぶりを振った。

「知ってるアニメのキャラクターを描いてる」

隣でペットボトルが開栓される音が聞こえた。

「高本くん、アニメ好きなの?」

「いや。真面目に見たものもないし、詳しくもない」

「そうなんだ」

わたしは結構アニメ好きだよ、とどうでもいい報告をした。

「えっ、ちなみにどんなキャラクターを描くの?」

「今一番なんとかの髪の短い子とか」

「ああ、桃香(ももか)ちゃんかな?」

「一昨年辺りに騒がれた映画の大人しそうな子とか」

「あっ、萌(もえ)ちゃんか」

「去年やった映画の、予告を見る感じではキーパーソンっぽい独特な髪型した人とか」

「ああ、百恵(ももえ)さん」

キャラクターの名前を上げていくうち、笑いがこみ上げた。