「終わった」という高本くんの声を合図にしたように、門のそばにあるししおどしが涼し気な音を響かせた。

初めて入った縁側の先は八畳ほどの和室だった。

入って左側には、それぞれ独特な形の台の上に置かれた五つの木箱、その反対側にはひまわりとゆりが使われた二つの生け花があった。


高本くんはそんなことないと言ってくれたが、スケッチブックの中のわたしは実物よりもいささか美しく描かれているように思えた。

実際に描かれた自分を見てみると、色がなくても充分に思えた。

少し前に鉛筆画というものを知ったせいもあるのかもしれない。


高本くんの描いた絵を携帯に残し、寝転ぶ高本くんの隣に同じように寝転んだ。

「なんか、こう並ぶと身長差がすごいね。高本くんの足が遠い」

「美澄さんいくつなの?」

「前回の身体測定では百五十七弱だった。あと三ミリ届かず。あの測定器デジタルってところが嫌だよね。言い訳できないんだもん」

言い訳、と笑いながら繰り返す高本くんに身長を問うた。

「俺は……百七十三だったかな。小数点の先は覚えてないけど」

「いいなあ、平均以上かあ」

対してこちらは平均未満なのだから隣に寝そべる相手の足が遠いのも当然なのかもしれないと思った。