「高本くんの家って、やっぱり広いの?」
「わからないけど……小学生の頃に唯一の友達を初めて家に呼んだんだけど、彼は広いと言ってくれたよ」
「ふうん……」
本当に普通の人なのだろうかと思い顔を覗き込むと、高本くんは頬を微かに赤らめ、目を逸らした。
わたしは込み上げた笑いを素直に出した。
「高本くん面白いね」
わたしは、「そうだ」と短い沈黙を破った。
「風葉公園には来年も行くの?」
尋ねると、高本くんは目線を戻し、「うん」と一言で頷いた。
「じゃあさ、もしよかったら……来年一緒に行かせてくれない?」
「えっ、いいけど……」
高本くんは目的を問うようにわたしの目を見た。
「なんか、高本くんの絵を見て、すごいよさそうな場所だなって思って。それに、高本くんともいっぱい一緒にいたいし」
言い切ったあと、恥ずかしくなって笑った。
対して、「そうか」と笑った高本くんの声は落ち着いていた。
「では、来年は一緒に行こう。ただ、美澄さんにとって楽しい時間になるかはわからないよ。むしろ、退屈な時間になるかと」
「別にいいよ。反対に、わたしは楽しい時間になると思ってるから」
そうかい、と笑った高本くんの声は、まるでアニメの登場人物のように優しいものだった。



