スケッチブックの一ページ目には、去年の西暦に続き、かっこの中に和暦が書かれており、その下に「春〜SPRING〜」と書かれていた。

随分と綺麗な文字を書くのだなと思いつつページをめくった。

たくさんのチューリップが咲く背景に、大きな建物のようなものと木々が描かれていた。

それは確かに高本くんの絵であり、白黒写真のようである。

「なんでこんなにうまいの……。この才能、百分の一でいいからわけてほしいよ」

これほどの才能ならば、百分の一であってもわけてもらえたら幼子の落書き程度の画力は卒業できる。


スケッチブックは、その後しばらく空が続き、西暦、和暦の下に「梅雨〜RAINY SEASON〜」と書かれたページが入り、あじさいの絵のあとに空が続いた。

梅雨のあとは、「夏〜SUMMER〜」、「秋〜AUTUMN〜」、「冬〜WINTER〜」と続いた。

毎度、その季節らしい植物のあとに空が描かれていた。