「よく来たわね。まあ弾丸を外したのだから、当然かしらね」

ショウゾウの言葉にあれで外していたのかと思いつつ、黙って彼女を見つめる。

続きが思いつかないのだ。

「わたしは、今日という今日こそ、あなたを撃つ」

わたしは拳銃に見立てた折りたたみ傘を握る手を下ろした。

「ならば……最後に一つ、訊いてもいいかしら」

「なによ」と言ったショウゾウの声はいつもより低かった。

「この物語は、いつになれば終わるの?」

ショウゾウは微かに口角を上げた。

「わたしも気になっていたわ。これから先どう進めようか、わからなかった。だからここで終わらせる。あなたの人生と一緒にね」

ショウゾウも続き考えてないのかよと腹の中で吐き出し、「はいカット」と声に出した。

「撃たせないの?」と叫ぶショウゾウに、「大丈夫、あの直後に銃声が入れられるはずだから」と笑い返す。

「さあ行こう、さすがのわたしも周りの目が痛い」

わたしは折りたたみ傘を鞄にしまい、昇降口へ向かいながら言った。