その瞳に写る頃


晴れているのならばいるだろうという考えとともに辿り着いた土手に、高本くんの姿はなかった。


家に帰ってしまってからの時間は早い。

夏服が恋しい中、長袖のワイシャツと、夏服に比べると厚手のスカート、加えてブレザーを身にまとい、ダイニングテーブルに並んでいた朝食を腹に入れ、遅刻するぞと脅されながら家を出る。

毎日は同じことの繰り返しだ。

それが少し前までは退屈にも感じられていた。

高校生活、という言葉に抱いた憧れが強すぎたせいかもしれなかった。

高校生というと現在のわたしの年齢だが、それよりも大人びていて、教室にはそんな自身が大人のようだと感じられる男子生徒がおり、

その人物と恋愛関係に発展したりしなかったりという落ち着いていながらも刺激的な高校生活を、わたしは去年の一学期まで本気で思い描いていた。

実際の高校生活を少し送った頃に、なんだか理想とは違うなとは思っていたが、どこかで理想が実現するのだと思っていたようだ。 

それがようやく抜けきった先月まで、時々感じていたのが退屈だった。