校門に向かって歩いていると、ふいに首に腕をまわされ、こめかみになにかが触れた。
「狙撃手美澄。あなた、今朝はよくもわたしの最愛なる妹をやってくれたわね」
「今朝、妹……? 狙撃手……」
はっとした。
「あなた、今朝のターゲット、翔子の姉……?」
「双子のね。わたしは今朝、妹が死んだことを知り、あなたに復讐することを誓った……」
せいぜい地獄で後悔するといいわ、と放ったショウゾウの声は、力強くも震えていた。
バン、という声とともにこめかみを押され、わたしは彼女へ軽く体を預けてみた。
「ふっ」という怪しい笑いが聞こえたあと、わたしは体を起こし、ショウゾウから離れた。
「今朝の物語って続編あったのね?」
「いや、別に今朝は物語とすら思ってなかったけど、撃たれたの思い出して悔しくなったから」
校門を出ると同時に、ショウゾウは「明日のサクゾウの行動を楽しみにしてるよ」と手を振った。
パスケースを振り回す後ろ姿に「なにもしないから」と返すと、彼女はなにを伝えたいのか走り出した。



