仕送りの食品を片付け、今年のカレンダーを外して送られてきた日本庭園のカレンダーを貼った。
スーパーマーケットのお菓子売り場に一袋ののど飴が置かれているのを見つけたような感覚に襲われたが、そのうちに慣れるだろうと頭を振った。
せっかくの休みだ、全力で怠けてやろうと思い、ベッドにうつ伏せに寝転び、リモコンでテレビを点けた。
画面の向こうでは、小綺麗な女性が森林出版社より発売された絵本、「はりねずみくんのおともだち。」が、
同じく森林出版社より発売された「ヤモリのモリくんシリーズ」に売り上げ一位の座を奪われたという聞き飽きたことを
どの番組よりも早くお伝えしていますといった雰囲気で話していた。
次は絶対に一位なんかにさせないしと腹の中で呟きながら、わたしはベッドを降り、冷蔵庫の方へ向かった。
緑茶を取って戻ると、番組の企画は変わっていた。
ある分野で有名な人物を紹介するという企画になっていた。
今紹介されているのは、イラストを投稿できるサイトで開催されたイベントで大賞を受賞した、“モノクロさん”という人物だった。
「今回ですね、なんとモノクロさん……いや、“モノクロさん”さんの絵を、当番組、入手することに成功しましたっ」
それがこちらです、という女性の明るい声と同時に返されたフリップにあった絵に、わたしの心臓は大きく跳ねた。
その瞳に写る頃 【完】