わたしは再度スポーツドリンクを飲んだ。

「“はりねずみくん”は“こあらくん”へ、過去に自分が描いた絵をすべて見せた。

“はりねずみくん”の描いた空想画に、“こあらくん”は感動した」

父は四冊目、「すてきなせない~きれいな木の実」を手に取った。

「“はりねずみくん”が得意とする分野は、植物から建造物や自然といった風景、周りの動物たちと、実に幅広かった。

二匹は、毎日いろいろな場所へ足を運んだ。

近くの小さな公園、少し遠くの同じような公園、広い公園――。行ったことのある場所へもない場所へも、一緒に行った。

まるで『きれいな木の実』のような、誰かと共有したくなるような美しいものを探しに。

しかし、“はりねずみくん”は“こあらくん”がいれば、
反対に、“こあらくん”は“はりねずみくん”がいれば、どんな場所にも『きれいな木の実』は見つけられた。

むしろ、互いが隣にいる毎日こそが『きれいな木の実』だった」

父は五冊目、「はりねずみくんのたからもの。」へ手を伸ばした。

「それは絵だけ。鉛筆、スケッチブック、“こあらくん”、彼のいる景色、日常――。

それらはすべて、『はりねずみくんのおともだち』であり、『はりねずみくんのたからもの』なの」

そうか、と父は一言で頷いた。