父は二冊目、表紙に「おともだち~えがくいろ」と書かれた自由帳へ手を伸ばした。
「すっかり友達という言葉が似合うようになった二匹。
“はりねずみくん”は“こあらくん”を描くようになった。
しかし、“はりねずみくん”のスケッチブックの中の“こあらくん”とその背景に、色が付くことはなかった。
ある日、“こあらくん”は一つの問いを“はりねずみくん”へ投げ掛ける。
なぜ色を塗らないの?――。
“はりねずみくん”は困ったように笑い、色を塗って失敗するのが嫌なのだと答える。
それから、“はりねずみくん”は毎日のように“こあらくん”を描いた。
春は桜の木の下、梅雨は傘の中。夏はひまわりの足元、秋は橙色の道の上、橙色の空の下。冬は雪だるまの隣、かまくらの中。
慌ただしい季節の中の“こあらくん”を、“はりねずみくん”はたった一本の鉛筆で描いた」



