その瞳に写る頃


わたしはダイニングテーブルへ五冊の自由帳を並べた。

「こんなに書いたのか」

「ええ。二つの命が辿る道、その一瞬と未来を忠実に綴りましたので」

そうかと頷くと、父は表紙に「ふしぎくん~おともだち」と書かれた自由帳へ手を伸ばした。


「“はりねずみくん”は、絵を描くのが大好きだった。

彼は毎日、お気に入りの場所で空を描いていた。

ある日、そんな彼の元に一匹のコアラがやってくる。

なにを描いているのかと問う彼に、大したものではないよと返す“はりねずみくん”。

そこで、“こあらくん”は自身の目的を思い出し、その場を去る。

その翌日、“はりねずみくん”の元に再び“こあらくん”が現れる。

なにをしているんだい、なにを描いているんだいと尋ねる彼へ、“はりねずみくん”は絵を描いている、大したものは描いていないと返す。

それを繰り返すうち、二匹は“はりねずみくん”が描いている絵を“こあらくん”に見せたことをきっかけに、友達とも呼べるような仲へ発展する」