「なんでよ。この絵の魅力はわかったんでしょう? わたしの伝えたいこともわかった。他になにが足りないというの? わたしの文章力?」
「絵のよさも、さくらがこの物語を通して伝えたいこともわかった。さくらがこの絵を世に広めたいと考えるのも、わかった」
「だったら――」
採用でいいじゃない、という続きを、父は「もっと」と遮った。
「もっと、この絵の魅力を引き出せないか?」
「……これ以上?」
「さくら、この人にただ絵を描かせてるだろう」
「なんだか嫌な言い方だけれどもね」
「そうじゃなく、この絵に合った話を書いてくれ」
「なに、お父さん。この絵にがち惚れじゃないの」
「もっと悲しくて、明るくて、この絵のような唯一無二な物語を作って欲しい。それを持ってきてくれたら、採用しよう」
「人にものを頼む態度が成ってないけど、まあいいでしょう。最高に悲しくて、最高に明るい――そんな、唯一無二の傑作を提供させていただきますわ」
わたしはにやりと口角を上げ、微かに湿った両手を握った。
高本くん――。心の中で、“親愛なる友人”の名を呼んだ。



