その瞳に写る頃


「ええと……。じゃあ、主人公はダーツを非常に得意とする……高校生?」

わたしは鞄からノートとペンケースを取り出しながら言った。

「いいんじゃない?」

「名前はどうする?」

「なんでもいいでしょう」

「ていうか、性別は? 男? 女?」

「どっちでもいいでしょう」

「……高本くんはどっちが描きやすいの?」

「どっちでも。美澄さんは?」

「わたしも別に……」

どっちでもと言いかけて、「いや女かな」と言い直した。

「えっと。じゃあ、主人公はダーツが得意な女子高校生、と」

わたしは声に出しながら、主人公の設定をノートに書いた。

「ほう」

隣から雑でも丁寧でもない相槌が返ってくる。

「彼女は……じゃあ中学生の頃からダーツをやり始めると」

「ほう」

「名前は……。ここだよなあ、地味にめんどくさいの」

「めんどくさいとか、本当に制作者として禁句だから」

苦笑する高本くんへ、「主人公の名前も性別もどうでもいいとか言ってた作画さんに言われたくないし」と笑い返す。

「じゃあ、主人公の名前はカナ。カナというダーツの得意な女子高校生が主人公。

彼女の容姿は、だいぶいいことにしよう。さらさらのショートボブが似合う、どちらかといえば美人系のかわいい女の子。身長は百六十二センチ」

「おお」

身長がいやにリアル、と高本くんは笑った。