放課後、校門を出た直後、わたしは「りんご」と呟いた。
「どうした」と笑う高本くんへ、「しりとり」と返す。
「漢字に変換できるもの縛りで。目に見えないものはだめ。音楽とか空気、言葉――みたいな。濁点は今朝と同じで」
「了解です」
切り株などのようにひらがなが入るものは、との問いに、わたしは少し考えた末になしでと返した。
「えっと……。林檎……だったよね。ご……」
高本くんは少し黙り込んだ末、「胡麻」と答えた。
「ま……麻婆豆腐」
「不死身」
「水」
「西瓜」
「か……果実」
「つ……土」
「ち……塵」
「り……理系女子」
高本くんの答えに、「ちょっと強引」とわたしは笑った。
「塩」
「お……皇子」
「屍」
「粘土」
「土手」
「手帳」
何気なく始めたが意外と難しいものだなと思いながら、わたしは「梅酒」と答えた。



