その瞳に写る頃


わたしはふうと息を吐いた。

「えっと……まずはこちらが本当に伝えたいことだっけ? 伝えたいこと……高本くんはなにかある?」

「正直、特になにも」

美澄さんは、とでも問うように高本くんはわたしを見た。

「わたしは……」

一つ今浮かんだ、とわたしは続けた。

「やってみなきゃわからないじゃない系」

「なるほど」

「で、今回全力で採用を狙っていくということで、物語の対象年齢は幅広くいこう。幼子から大人まで。

子供に読み聞かせたつもりだったけどこっちにも染みちゃったんですけど的な。それくらいにさせる気でいこう」

「了解です」

「それでは、おやじを黙らせてやるぜ作戦第二、実行だ」

右手の甲を上に向けて差し出すと、高本くんは控えめに自身の手を重ねてきた。

せーの、とわたしは小さく言った。

「ビクトリーイズ――アウアーっ」

手を高く上げると、高本くんは小さく笑った。

「絶対勝つからね、ガチガチのまじまじで。卒業する前には出そう」

頷いた彼の目には、それまでは感じなかった光のようなものを感じた。