その瞳に写る頃


「さて、どんな話を提供してやろうか」

わたしは教室に着くと、高本くんの隣の席へ直行した。

「『ジェムのあしあと』はなにがだめだったの?」

高本くんは言った。

「なんか、高校生の想像からできた話としか思えないんですって。いかにも子供が作った話よね、って感じなんじゃない?」

「そうか……。では、変に背伸びしたりせずに書けばいいのかな?」

「どうなんだろう……。別に今回も背伸びしたつもりはないけどね」

「いろいろ調べたりしたじゃない。だから、次作は他から情報を集めずに作ってみない?」

「でも……それこそいかにも子供って感じになっちゃわない?」

「では、背伸びする部分を変えてみるか。『ジェムのあしあと』ではいい話感を出すことに専念した。

だけど今回は、表向きは単なるなにか、しかしよく考えてみると、まるで違うなにかが見えてくる、みたいな。

つまり、よく考えてみた先の答えをまず考えて、それを別の形にすることに専念してみるっていう」

「ああ……。なんか随分と高いハードルだけど、それを越えなくてはあの男は黙らないんだもんね」

たぶん、と高本くんは頷いた。