ショウゾウとは、別れるまで百二十円のおばちゃん特製デザートについて話した。
土手は、ショウゾウと別れる校門から五分程歩いた先にある。
喜ぶべきか、絵描き少年は今日もいつもの場所にいた。
「……まあ、嬉しいんだよ?」
自分にも聞こえないような声で呟いた。
実際、絵描き少年がいるのは嬉しいことだ。
勇気が出れば話し掛けることもでき、あわよくば絵に色を塗らない理由も訊けるのだ。
「ただなあ……」
残念なことに勇気が出てこようとしないんだ、と腹の中にこぼす。
ため息とともにうなだれた先にそれなりの大きさであるミミズがいた。
思わず短い悲鳴を上げると、絵描き少年がこちらを振り返った。
儚いほどに白い狭い場所に配置されたパーツは、結果としてわたしの想像とは少し違った印象を与えた。
どこかクールな印象を与える目に、すっとした鼻、色の薄い唇。
一つ一つはいいのだが、結果はそれほどではない――。
わたしと同じタイプか、と思った。
以前ショウゾウに、「サクゾウって目とか口とか一個一個は整ってるけど結果はいまいちだよね」と言われたことがある。
そう言うショウゾウはそれなりに綺麗な顔をしている。厳しく見ても中の上にはなるだろう。
絵描き少年のきちんと結ばれたネクタイを飾る縞模様は緑色だった。
「ああ、同い年……?」
ネクタイを確認して浮かんだ思いは簡単に口から出た。
「ああ」と発せられた少年の声は、自分と同じ年齢であるとは思えないほど落ち着いた低音だった。



