その瞳に写る頃


絵本の制作は翌日から始まった。

徒歩で三十分強の場所にある百円均一ショップで購入した自由帳に、「ジェムのあしあと」は生まれた。

制作は、わたしが文を書き、後にそこへ高本くんが絵を描くという形で進めることとなった。


「ああ、終わったあ……」

高本家の畳に大の字に寝転ぶのは、制作開始からおよそ三か月後の十一月上旬のことだった。

「おお、おつかれ」

「人生で初めて作り話綴ったけど、本当、ごりごりに疲れた」

とりあえず作り話と言うのやめようよと笑いながら、彼は自由帳に手を伸ばした。

「高本くんも明日から地獄ですぜ」

「いや、地獄とか制作者として絶対禁句でしょう」

苦笑する高本くんをよそに、わたしは広い畳を転がった。

「体を動かせてるぜベイベー」

「地獄から脱して人が変わった」

高本くんはさらに苦笑した。

「やっほーやっほー頑張れ高本っ」

「ところで美澄さん。絵ってこれ、俺が勝手に描いちゃっていいの? なんか、ここにこの絵をとかある?」

「ううん、特にない。適当に文に合わせておいて」

「ほほう」

了解です、と高本くんは鉛筆を握った。