その瞳に写る頃


「完結させたとして、これどこに売り込みに行くの?」

「森林(しんりん)出版」

わたしは一言で答えた。

「えっ……。ちょっと待って、正気?」

高本くんは半ば叫ぶように言った。

「なんでまたそんな有名所を……」

「大丈夫。あそこなら、出版社にというよりも父親にって感じになるから」

「えっ?」

「わたしのお父さん、森林出版でそれなりの肩書きあるんだ。なんかいろいろ仕切ってる感じの。

まあ親の仕事になんて興味ないから、情報は曖昧だけどね。でも森林出版に務めてるのは間違いない」

「へええ、美澄さんのお父さんすごいんだね。森林……森林出版かあ……」

高本くんは非常に稀なものを見つけたかのような光を目に宿し、笑みを浮かべた。

わたしは両手を振り、「いやいや」と苦笑する。

「あの人の場合、時間でどうにかした感じだから。長くいたら、年齢とともに別のものも自然と上がっていった、みたいな。実力でどうのとかそんなすごいのじゃないから」

なんかわたしまで照れるからやめてと苦笑を続けると、なんかごめんと同じように返ってきた。