その瞳に写る頃


「で、最後ジェムはどうする?」

わたしが言った直後、ししおどしが音を響かせた。

「死んじゃったら悲しすぎるよね」

高本くんは自身の唇に触れた。

数秒後にゆっくりと手を離す。

「では、友達に飼ってもらうっていうのはどうかな?

その後、友達がひたすら温めて、ミルクあげて、回復――みたいな。

元気になってからまた主人公に会いに行くというのもいいかも」

わたしは「あっ」と声を上げた。

「じゃあ、絶妙なところ突いてみる?」

「と言うと?」

「高本くん、友達が温めてミルクあげて回復するって言ってくれたじゃん?

そこを、全部ぶっ込むとなると最後わちゃわちゃした感じにならなくもなさそうだから、友達が温めてくれるところで終わらせる、みたいな」

「で、ジェムがその後どうなったかは読者様次第、と」

「そうそう」

「なるほど。いいんじゃない?」

「悪くないよね。これなら完璧出してもらえるでしょう」

高本くんは「だといいね」と笑った。

三枚の紙をテーブルに並べる。

それぞれ、至って普通な少年、小柄な少年、綺麗な瞳を持つ犬が描かれている。

「絵の方なんだけど、こっちから順に、主人公の“りょうすけ”、友達の“けんと”、犬の“ジェム”」

紙を一枚ずつ示していく高本くんの指を追い、わたしは思わず笑った。

「完璧。“りょうすけ”も“けんと”も“ジェム”も。完全にわたしが思い描いてたやつ」

「そう。それならよかった」

ところでさ、と高本くんは静かに言った。