その瞳に写る頃


「芸能人、ドラマ、アニメ――などなど。人気が出るものの共通点って、新しさだと今思ったんだよね」

今、と高本くんはさらに苦笑した。

そう今、とわたしも同じように返す。

「絵本のほとんどの絵に色が塗られている。そこで、一切色を塗らず、黒の濃淡だけでリアルな絵を入れれば、それって新しさにならない?」

「……でもさ。コメディ映画って終始笑わせてくれるでしょう。そのコメディ映画を、鼻でも笑えないギャグだけで作ったら、新しくはあるのかもしれないけど、人気出ると思う?」

「それはあれでしょう。色のついたかわいらしい作画が多い絵本業界に、わたしみたいな幼子の落書き程度の画力のものが色を塗らずに描いた絵を入れた本をぶち込んだらって話でしょう?」

「俺の絵も世間にはそれくらいにしか映らないと思うけど」

「なんでそうも消極的かなあ。まあ、高本くんが望まないなら全然強要もしないけど」

「いや……」

突然隣から姿を消したような高本くんを探し振り返ると、彼は数歩後ろの位置に立ち止まっていた。

「美澄さんの願いが叶えられるなら、俺は協力するよ」

わたしは茶化すように「おやおや」と眉を上げた。