その瞳に写る頃


噴水の方では、まだ子供たちが楽しそうにしていた。

なんとなく切ない気分になる子供たちの声を背に、わたしは口を開いた。

「高本くんはさ、やっぱり、自分の絵を人に見せたいとか絵で有名になりたいっていう気持ちはないの?」

少しの沈黙のあと、「どうして?」と返ってきた。

「いや、その……もったいないなと思って」

わたしは自分の足元へ目を落とした。

「そうか……」

「……もしも――もしもね、わたしが、高本くんの絵を世に広めたいって言ったらどうする?」

「美澄さんが?」

隣から視線を感じた。

「うん」

「……どうやって?」

まさか世界征服並みのことやらかそうとかは考えてないよね、と高本くんは冗談めかしく言った。

それはないよ、とわたしは笑い返す。

「やろうと思えば、簡単なこと。もしも高本くんが自分の絵を世に広めたいとか、絵で有名になりたいとかって思ってるなら、自分の願いと一緒に叶えられるなと思ったの」

「その美澄さんの願いというのは?」

「有名になるってこと。ほら、前に死ぬまでに一度は有名になりたいって言ったでしょう? 悪いことをして、じゃなくて。あれ、本気の願いなのよ」

いかにも子供らしい願いでしょう、とわたしは笑った。