わたしはポケットから携帯を取り出した。
カメラアプリを立ち上げながら腰を上げる。
視界の左端を濃いピンク色で彩っていたブーゲンビリアへ歩み寄る。
携帯の画面にブーゲンビリア全体と前方の海を写すと、画面の下方にある白い円に触れ、シャッターを切った。
さらにブーゲンビリアの低木のみで画面を埋めてシャッターを切り、そのうちの一つのピンク色の葉と中の白い花で画面を埋めてシャッターを切った。
わたしは携帯をポケットに入れ、海を見渡せる位置へ移動した。
柵の上で腕を組みその上に顎を載せた。
風が髪の毛を揺らす。
顎を上げて深く呼吸し振り返ると、高本くんと目が合った。
「大丈夫、邪魔じゃない?」
「なんの問題もない」と彼は口元に笑みを浮かべた。
「それより美澄さん、飽きない?」
「全然。飽きるくらいなら、そもそもついてこないもん。今回に限らず、今までも」
わたしが言うと、高本くんは「そうか」と優しい笑みを浮かべた。
なんだそのおぼっちゃま臭は、と自分とのなにかの違いを嘆き、わたしは再度海を眺めた。



