楽しい時間は過ぎるのが早く、気がつけば辺りは夕焼けに染まっていた。

あのあと、ヤマムラソウタが走って行った先からショウゾウの「お命頂戴するわ」という叫びが聞こえた。

その現場へ駆けつけると、今度はヤマムラソウタにショウゾウがバケツで水を掛けられていた。

「ここで引き分けといかないか」という彼女の提案に、彼は「勝敗がつくからこその戦いだろう」と返した。

その会話に二人の本来の年齢が感じられ、少し安心した。

しかしそのあとに結局、ショウゾウが「上等だ、本当の勝敗は家でつけようじゃないか」との声を上げていたため気になる部分はあったが、

それよりもずぶ濡れで髪の毛や服から水を滴らせている自分のことの方が気になった。


「ええと……アイネ、リンネ、ソウタ、ハルノ、レオン。全員いるね?」

ショウゾウの声に、五人は「はあい」と声を揃える。

「ええ……これにて、まじ超絶真剣水鉄砲バトル……だっけ?」

「ガチ超絶まじ真剣水鉄砲バトルっすね」

わたしが言った。

ああ、とショウゾウは苦笑する。

「ええと、これにて、ガチ超絶まじ真剣水鉄砲バトルは終了となります。

風邪をひく前にちゃっちゃと帰り、わたくしとソウタは全力で勝敗をつけましょう」

「はあい」という素直な声のあと、「ぜってえ俺の勝ちだし、圧勝だし」というヤマムラソウタに、

ショウゾウは「てめえ調子こいてんじゃねえぞ」と静かに返した。

「はい、ではこれにて解散です。さくらさんは、全力でいろんなことに気をつけていただいて」

「ああ、はい」

「そんな状態で歩いてたら、絶対におまわりさんとか寄って来るでしょう」

「いや、ずぶ濡れの集団にも寄って行きそうだけど」

ショウゾウはわたしの言葉をなかったもののようにし、「はあい、みんな帰りますよお」と五人を公園の出入り口へ促した。

わたしは苦笑し、「そっちも気をつけてね」と聞こえないような声で六つの背に投げた。