彼から逃げるようにすべり台の下を離れた。

当然のように彼もついてきたが、それでよかった。

でかい水鉄砲の引き金部分に指を入れ、二つの水鉄砲を回した。

直後にこの大きさのものはこうするには相応しくないと思った。


「お前……そこまでして勝ちたいか? 相手は小学生だぞ」

「この戦いの主催である翔子姉ちゃんは、年齢や頭脳の程度は一切関係ないものとすると言っていた。わたしはその言葉の基に動いているまでだ」

わたしはふっと笑った。

「これで貴様は――」

終わりだ、と言わせる前に、「そっくん、ちっちゃいけどこれを使って」という少女の叫びが聞こえた。

振り返った先から拳銃のような形の水鉄砲が飛んでくる。

わたしは空の水鉄砲を足元に捨て、百瀬アイネが投げたそれを受け取った。

「サンキュー、ビューティフルガール」

「あんたなわけないでしょう」という怒りに満ちた叫びを無視し、わたしは百瀬アイネから受け取った水鉄砲を先程のように回転させた。

三回転させた後に構える。

わたしは足元に捨てた水鉄砲をヤマムラソウタの方へ蹴った。

「武器が欲しけりゃそれを使えばいい」

彼が水鉄砲を手にしたのを確認し、「待っててやるから、あっちで給水して来な」と前方を顎でしゃくった。

少し前にショウゾウがあちらへ走って行ったのを知っている。

彼女のことだ、ヤマムラソウタが走って行く先では一度奪われたバケツに限界まで水を入れているだろう。