「お前ら、覚悟しやがれ」

ヤマムラソウタが叫んですぐ、わたしとショウゾウの水鉄砲は水を発さなくなった。

やばい、とはショウゾウも思ったようだ。

彼はここで、一度も引き金を引いていない。

わたしとショウゾウは二秒ほど目を合わせたあと、すべり台の周りに円を描くように走った。

ヤマムラソウタはショウゾウの方を向いていた。

目の前にいた彼女を追ったはずだ。

わたしは大きなすべり台の下に隠れた。

ふうと息をついた直後だった。

脇腹になにかが触れた。

死を覚悟しかけた。

「……坊や、その銃は遠くから相手を狙うのに長けているんだ。こんな至近距離で使用するものではない」

「しかし、この距離で使ってはならないという決まりはないだろう?」

わたしは焦りを隠し、ふっと笑った。

「それもそうだな。で、どうする? わたしを撃つか?」

「戦いの前、言っただろう? 俺は最初からあんた狙いだと。翔子姉ちゃんという邪魔が消えた今、俺がなすべきことはただ一つ。貴様を撃つことだ」

「そうか……。最後に一つだけ、いいか?」

ヤマムラソウタは小さく笑った。

「まあ、いいだろう」

「戦いの前――君がこの戦でわたしを狙うと宣言した頃のことだ。翔子姉ちゃんは……」

少しの溜めのあと、「他人から武器を奪ってはいけないとは言わなかったな?」と続け、わたしは自分の水鉄砲を左脇に挟み、左手でヤマムラソウタの水鉄砲の先端を掴んだ。

「てめえ……」と彼が怒りをあらわにするのも気にせず、わたしはヤマムラソウタから水鉄砲を奪取した。