すべり台の階段の方でショウゾウに会った。

「ヤマムラソウタは?」

わたしの問いに、見失った、と彼女は首を振った。

「わたしは限界まで水を入れたバケツを持っていたのだが、やつはそれを奪い、逃走した」

「いや、なんで水の入ったバケツを奪われるの」

「やつはわたしに脅しを掛けた。俺の言うことに従わなければ即刻貴様を撃つ、とな。それで、やつの言うことというのが、バケツを速やかに地面に置き、両手を上げろというものだった」

「……ヤマムラソウタ、最年少の小学校二年生だったよね?」

「どうやら、わたしとよく遊んでいたのが悪い影響をもたらしたようでな。

わたしはやつと遊ぶとき、貴様だのこちらの言うことに従えだの、さっきのやつのような言葉を頻用していた。

今回やつが使った脅しという手段も、わたしから学んだのだと思われる」

わたしがヤマムラソウタの親だったら二度と翔子とは遊ぶなと教え込む、とは腹の中にこぼした。

「ところで、ヤマムラソウタは――」

今どこに、と言い切る前に、頭上から水が降ってきた。

その水はわたしだけでなく、ショウゾウにも充分に掛かった。

「貴様か」とショウゾウが見据える後ろを振り返ると、ヤマムラソウタが満足げな表情で立っていた。

挑発的な目線を向けてくる。

「ヤマムラソウタ……なぜお前が。バケツならさっき、百瀬アイネが……」

「やつから奪ったんだよ。君の敵を討つと言えば、やつは簡単にバケツをよこした」

ヤマムラソウタはショウゾウによく似た言葉を並べた。

にやりと一方の口角を上げると、体に対しては非常に大きな水鉄砲を構えた。

わたしとショウゾウも負けじと水鉄砲を構える。