もう少しで給水所、というところでヤマムラソウタが走って来た。

彼を数メートル後ろから追うショウゾウが「サクゾウ、そいつを徹底的にやれ」と叫ぶ。

わたしは給水所へ走りながら、「生憎弾切れだ」と叫び返す。

「弾を入れたらすぐに向かうさ」

走りながら続け、さらに少し走ると、給水所へ辿り着いた。

走っている間に外したタンクの口に蛇口を突っ込み、思い切り栓をひねる。

蛇口から勢いよく飛び出した水は、時間を掛けずにタンクを満たした。

タンクを本体に装着し、ヤマムラソウタを探しに行こうと振り返ると、足元に多量の水が放たれた。

少し目線を下ろすと、バケツを持った百瀬アイネがいた。

「お前……どこで給水を……」

百瀬アイネは鼻で笑った。

「知らなかったみたいね。ここ以外にも水道があることを」

はっとした。

「うっかりしていた、とても。そういえば、ベンチのすぐ近くに水が……」

「お主はどうやら限りなき愚か者のようね。あんなにも水の近くにいたのに、わざわざここまで走るだなんて」

年上を嘲笑する百瀬アイネからバケツを奪い、それに勢いよく水を入れると、彼女の頭上で限界まで水を入れたバケツを返した。

「悪いが君の相手をしている暇はわたしにはない」

さらばだ、と残し、わたしはヤマムラソウタを探しに走った。