後ろを振り返ると、少し先でこちらへ水の出口を向ける百瀬レオンがいた。
彼はわたしと目が合うと、すぐに引き金を引いた。
水はこちらが避けたためにわたしの少し後ろの地面を濡らした。
「くそっ……そんなに飛ぶのか」
ならばこちらも、と言いながら、わたしは百瀬レオンに狙いを定め、非常に浅く引き金を引いた。
水の出口で彼の動きを追い、相手が動きを止めた一瞬で引き金を最後まで引いた。
飛んだ水は百瀬レオンの腹部を直撃した。
彼の悔しがる声が聞こえるようで嬉しくなったのも束の間、少女の声とともに頭上から水が降ってきた。
「誰だ」と振り返ると、すぐ近くにシモザワハルノがいた。
わたしはふっと笑った。
「君……おとなしそうな見かけによらず、きかないのね」
わたしは低い声で並べると直後に水鉄砲を構え、彼女に向けて水を発射した。
そしてシモザワハルノが反応を示している間に彼女の足元に転がるバケツを奪い、給水所へ走った。
全員がショウゾウの言うことを聞けば、バケツと、ついでの水鉄砲に給水している間は襲われないはずだ。



