その瞳に写る頃


ショウゾウの提案で、五人の名前を再確認してから戦いが始まった。

「俺、さくら狙い」と宣言したのは、ヤマムラソウタだった。

「ならばわたくしも、君――ヤマムラソウタ狙いで」と彼に水の出口を向けた。


戦いが始まった直後、ショウゾウはバケツの方へ走った。

短時間で水を汲んで来ると、わたしの頭上でバケツを返した。

「ちょっ……まじで言ってんの?」

「当たり前じゃない。思い切り濡れないと躊躇しちゃうでしょう」

「いや、そうだけど……」

夏でもちょっと冷たいんだけど、とわたしが言っている途中で、彼女はわたしの後方へ水を発射した。

「サクゾウはわたしが守る。ソウタ、あんたはわたしが殺すわ」

「ちょっと待って、これ警察来たら絶対誤解されるって……」

「そんなの――」

そんなの気にしている場合ではないとでも言おうとしたのであろうが、ショウゾウは言葉を止めた。

「サクゾウ、後方に貴女を狙う少年がっ」

しかしすまないがわたしはソウタヤマムラの命を頂戴しに行く、と彼女はヤマムラソウタを脅しながら走って行った。