その瞳に写る頃


はい、とショウゾウは再度手を叩いた。

わたしを含むすべての者の目線が彼女へ集中する。

「ええ、ではこれから、ガチガチのまじまじで、ガチ超絶まじ真剣水鉄砲バトルを開催いたします。

ここにいる者のほとんどに百瀬家の血が入っておりますが、

これより開催いたしますガチ超絶まじ真剣水鉄砲バトルでは、血の繋がり、性別、性格、頭脳の程度、年齢――などなど、そういった邪魔な情報は一切関係ない……というか、一切考慮しないものとします」

はあい、と彼女のいとこである少年少女五名は声を揃えた。

「ただし、ガチガチのまじまじとはいえ、ある程度のルールを設けます。

これはより戦いに対し真剣になるため、また、安全に戦うために必要なものです。

まず、武器の給水中である者は攻撃しないこと。

仮にそんな卑怯な真似をするようなくずがおりましたら、通常は一人一人で行動しますが、直ちに二名以上の組を作り、そいつを徹底的にボコしに行ってください」

ショウゾウの感情のないような声に、五名は「はあい」と声を揃える。

「続いて、水鉄砲では首より上を狙わないこと。

それは例えどんなに水の出る勢いが弱いものでもそうです。

なにであろうと、点で攻めればその威力はえげつなくなります。

それがもしも目にでも直撃すれば、その後の当事者の関係や被害者の人生は絶望的なものになります。

また、目だけでなく鼻も、水が入れば激痛をいざないます。その痛みを想像できない者は、いつか水中で思い切り鼻で息を吸ってみることです。無論自己責任。

ええ、次ので最後になります。

今回、水鉄砲の移動に使ったバケツが一つありますが、それは誰がいつ、何度使ってもよいことにします。ただし、バケツの使い方もある程度決めさせていただきます。

バケツで直接攻撃しないこと。投げたり蹴ったり殴ったり、ですね。バケツはあくまで、入れた水をぶち撒けるという形で使用してください。

ただしその際、顔面は決して狙わないこと。体にぶっかけるか、頭の少し上から中の水だけを落としてください。

ルールはこれで以上になります。このあと、それぞれの武器に全員で給水し、それが済んでから戦いを始めます」

よろしくお願いします、と頭を下げるショウゾウに、少年少女五名が同じように頭を下げ返した。

ショウゾウとはそれなりの時間をともに過ごした気でいたが、さすがに肉親にはかなわないと思った。