その瞳に写る頃


彼女はぱちんと手を叩いた。

「さて。さくらちゃんも来たことですし――」

ショウゾウはすっと笑みを消した。

「戦いを再開しようか」と低い声を続ける。

「ちょっと待ってショウゾウ。わたしの武器は?」

「大丈夫、あるから」

なんであるのよ、とわたしは呟いた。

「なんか、今回一個余分に用意しちゃった感じで、でも持ってきて損はないだろうということで持ってきたんだけど……」

本当に損はなかったよ、とショウゾウは派手な形の水鉄砲をわたしに手渡した。

「ちょっと待ってよ……。これを小さな子供に向けるの?」

「別に小さくなんかないよ。最年長は小学校四年だよ? 最年少でも小学校二年。全然問題ないって」

「問題しかないように感じるんだけど……」

これも血の繋がりのせいだろうかと思った。

「ていうかこれ、大人に怒られたりしない?」

「ああ、それならもう大丈夫」

ショウゾウは給水タンクを外して確認すると、なにもせずに本体へ戻した。

「もうすでに、さっきおまわりさん来たから」

「……え?」

「なんか、見回り的な? パトロール的な感じで歩いてたんだろうね。

んで、『ああ、ちょっとちょっとお……お姉さんなにやってるのお、小さな子供相手にさあ』とか言われちゃって?

いとこと遊んでやってるだけだっつうの。

んで挙げ句の果てにはあのおっさん、『お姉さん大人気ないよお』とか言いやがって。遊びもバトルも睡眠も、全力でやんないと楽しくないっつうの」

「おまわりさん、そういう感じの喋り方だったんだ?」

口を尖らせ、低くこもったような声で言ったショウゾウに笑いながら返した。