その瞳に写る頃


「サクゾウ?」

数秒間の静止のあと、ショウゾウはいつもの声を発した。

「やっぱりショウゾウ?」

わたしは言いながら彼女へ歩み寄った。

「大事件発生、一旦休憩だ」と子供らに呼び掛け、ショウゾウもこちらへ寄って来る。

「いやあ、うける。サクゾウなにしてるの?」

「いや、わたしは普通に散歩を……。それよりショウゾウこそなにしてるの? 幼子相手に物騒な言葉吐いて……」

「ああ」

ショウゾウはふわりと笑った。

「あいつら、わたしのいとこ。父上の実家が市内にあってね。あいつらの宿題を見てやってたの。それで、超絶優秀な翔子様が見てやったわけだから、それぞれ半分近く残ってた宿題も一週間で終わるじゃん? それでさっき、そこのハンバーガーショップで昼ご飯食べて――」

「ちょっと待って」

わたしはまだ続きそうなショウゾウの言葉を遮った。

「あの子たち、いくつ?」

小さく唸ったあと、「めんどくさいから自己紹介させるね」と言うと、ショウゾウは「全員集合、ビリケツはデコピン」といとこたちに向けて手招きした。

計五人の子供が周りに集まった。

「この人、翔子姉ちゃんのお友達なの。さくらちゃんっていうの。そこで、今日、これから一緒に遊ぶさくらちゃんに、一人一人自己紹介をしてください」

「ちょっと待って」

わたしは叫ぶように言った。

「これから一緒に遊ぶって言った?」

「当然」と雑に返すと、ショウゾウはいとこたちに自己紹介を促した。