その瞳に写る頃


翌日、予定のなかったわたしは、一人で家にいるのも寂しく、散歩に出掛けていた。

高本くんが梅雨に絵を描くというそれなりの広さがある第二公園では、七歳から八歳程度の子供五人と、二十代前半くらいにも見える女性が水鉄砲で遊んでいた。

きょうだいが多いのも楽しそうだなと思いながら、わたしは彼女らを眺めた。

女性は少年に後ろから水を食らうと、「おい誰だ今の」と低い声を上げた。

「そっくん」という少女の声を聞くと、「ソウタてめえぜってえぶっ殺す」と女性は叫んだ。

その声になんとなく聞き覚えのある気がしてしまった。

声といい言葉遣いといい――まさかと思いわたしは目を凝らす。

ずぶ濡れの微かに茶色がかった緩やかなくせ毛、至って平均的な身長に、それ未満の体重を想像させる華奢な体――。

「まじか」とわたしは呟いた。

「おらソウタてめえ覚悟しろ」とでかい水鉄砲を構えてこちらを見据えると、女性は驚いたような表情を浮かべ、動きを止めた。